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● PROFILE ・・・・・・・・・・・・・・・・・●
山下 毅 氏 (やました たけし)
(財)三越厚生事業団三越診療所 副所長
慶応義塾大学医学部 非常勤講師
医学博士
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<現職>
(財)三越厚生事業団 三越診療所 副所長
<学歴>
昭和61年3月 防衛医科大学校医学科 卒業
<職歴>
昭和61年 3月 航空自衛官任命 以後防衛医科大学校病院における研修と
航空自衛隊熊谷基地衛生課における業務をローテーション
平成 5年10月 防衛医科大学校医学研究科 入校
平成 7年 6月 ベーカー医学研究所において研修(オーストラリア メルボルン)
平成 9年 9月 防衛医科大学校医学研究科 卒業
平成10年10月 航空自衛隊熊谷基地衛生課 衛生課長
平成10年 2月 医学博士学位受領
平成11年 4月 財団法人 三越厚生事業団入団
平成14年 4月 三越診療所 副所長
現在に至る
平成15年 より 慶應義塾大学医学部 非常勤講師
<主な加入学会>
日本動脈硬化学会(評議員)、日本人間ドック学会(認定医)、日本内科学会、日本糖尿病学会、日本老年医学会、日本総合健診医学会
<専門分野>
コレステロール・中性脂肪・動脈硬化・生活習慣病
■ 講演内容(講演資料より)
脂質異常症と高脂血症
2007年日本動脈硬化学会による動脈硬化性疾患予防治療ガイドライン
今まで高脂血症として、動脈硬化の危険因子として、総コレステロール・中性脂肪高値を示すことで使われてきた。
総コレステロール値よりもLDLコレステロール値を注目することと、低HDLコレステロールを強調することにより、脂質異常症と名称を変更となった。
(今はまだ共存して使われている状態)

血液中の脂質
- コレステロール
- 凜脂質
- 中性脂肪リン脂質
- 遊離脂肪酸
低い方がよいコレステロール、
高い方がよいコレステロール

Friedewaldの計算式
LDLc = TC - HDLc - (TG / 5)
- TG(中性脂肪)が400mg/dl以上の時は、6で割る
- 最近は直接LDLcを測る事もある。
コレステロールの上昇する原因
- 遺伝・体質
- 年齢 特に閉経以降の女性
- 生活習慣 食事・運動
(甲状腺機能低下症・腎疾患など)
- 前2者は変えることができない。変えられるのは生活習慣
- しかし、生活習慣を変えても年齢の因子が強いとどんどん上昇していく

メタボリックシンドロームの診断基準(日本, 2005)
- ウェスト周囲径 男性≧85cm、女性≧ 90cm
‐(内臓脂肪の面積は男女とも100cm2に相当)
- これに加え、以下のうち2項目以上
‐TG ≧150mg/dL / HDL-c<40mg/dL
‐SBP ≧ 130mmHg / DBP ≧ 85mmHg
‐空腹時血糖値≧110mg/dL




メタボリックシンドロームまとめ
- 治療するほどでもない軽度の異常も重なると動脈硬化を進める。
‐従来の危険因子を補う中等度の危険因子
- その根底には内臓脂肪・インスリン抵抗性・サイトカインなど炎症機序がある。
‐肥満=メタボリックシンドロームではない
- 生活習慣の改善が有効であり、体重と一緒に腹囲をコントロールする。
‐現状ではメタボリック治療薬はないので安易に薬剤治療だけをするのではなく、保健指導が重要である
- 生活習慣改善の動機づけとして、有用なツール
‐ガイドラインは今後の研究で見直す必要がある。
脂質異常症とメタボリックシンドローム
(脂質代謝における)
- 脂質異常症は総合的な名称ではあるが、LDLの異常を中心とした概念
- メタボリックシンドロームは今までは軽視されがちであったTG・HDLの異常を中心とした概念
メタボリックシンドローム治療の基本
- 健康な生活習慣の推進
(1)適度なカロリー制限
‐最初の 1 年で 5 〜10%の体重減少を達成する
(2)適度な身体活動量の増加
‐インスリン抵抗性の改善(有酸素・無酸素運動)
(3)食事内容の変更
‐バランスの良い食事
- 生活習慣の変更が不十分で,心血管疾患のハイリスク状態にあると判断される場合は,薬物療法を考慮しなければならないが,現在のところ,メタボリックシンドロームの病態全体を明らかに改善する薬剤は存在しない。したがって,現状では構成する個々の因子に対する治療を行うしかないという。
- 薬物治療中でも、生活習慣の改善を続ける事が重要である。
動脈硬化の予防のための生活習慣改善(脂質異常症)
肥満の是正に加え
- コレステロールに対して
コレステロール摂取(卵・内臓類)を控える
食物繊維、植物ステロール
脂肪の量と質(常温で固まっている脂)
- 炎症に対して
n-3脂肪酸(植物性、魚)
運動
- 中性脂肪・低HDLに対して
アルコール/甘いものを控える
ジアシルグリセロール/カテキン/ n-3脂肪酸
運動/禁煙
動脈硬化に関する食事療法トピックス
- 地中海食
‐リノレン酸、n-3脂肪酸(EPA, DHA)
- 植物エストロゲン
‐イソフラボン=大豆蛋白
- 酸化変性予防
‐抗酸化物
‐過酸化脂質(サラミ・干物?)
- 抗炎症作用
- 葉酸 ホモシステインを低下
- マグネシウム
沖縄の長寿者の食生活
- 肉類(特に豚肉)を過不足なく食べる
- 豆類(特に豆腐)をよく食べる
- 野菜類(特に緑黄色野菜)を多く食べる
- 海草類(特に昆布・もずく)を多く食べる
- 食塩摂取量が少ない
運動のポイント
- 適度の有酸素運動で
‐HDLコレステロールを増やす
‐総およびLDLコレステロールを減らす
‐中性脂肪を減らす
‐血圧の低下
‐インスリン抵抗性の改善
- 1週間当たり20Km位が目安
高血圧治療ガイドライン生活習慣の修正項目
- 食塩制限 6g/日未満
- 野菜・果物の積極的摂取(カリウムなど)
‐ただし腎機能低下・糖尿病は勧めない
- 適正体重の維持
- 運動療法 有酸素運動30分/日以上
- アルコール制限
- 禁煙
糖尿病の食事療法・運動療法
- 一日の総摂取エネルギーの算出
‐標準体重× 20〜30(運動強度による)
- 炭水化物・蛋白質・脂質のバランス
- 適量のビタミン・ミネラル
- (食後高血糖の予防・インスリンの節約)
- 運動強度は心拍数が100〜120/分以内
- 1週間に3日以上
行動(修正)療法
- 認知する 自分の状態を知る・書き出してみる
・自分の体重(腹囲):毎日二回測定
・自分の検査値・危険因子数:定期的に医療施設で
・食事内容・食べ方・運動内容:細かく書き出してみる
- 知識を持つ
‐重要性(結果期待「そうか、やらないといけないなぁ」)
‐自信 (効力期待「そうか、それだったらできる」)
・自信と重要性をバランス良く高め、行動変容の準備をする
- 行動する
‐良い行動のきっかけを作る
・ウォーキングシューズを玄関におく
‐悪い行動のきっかけをなくす
・目の前に食べ物を置かない
‐代わりの行動を入れる
・お腹がすいたら、お茶を飲む・友人と電話する
治療
●食事・運動が第一である。
●薬剤でのコントロール
- 内服すると低下するが、やめると上昇するので、動脈硬化を予防するという目的のためにはLDLの低い値を長い期間続ける必要。このためには、一生飲むことはないが、ある程度長い期間・年単位で内服する必要がある。
- メリットは危険因子が多いほど、コレステロールの値が高いほど大きく、動脈硬化を予防することは明らかである。
- デメリットとしては、時間はかかる・お金がかかる等の医療経済的理由と副作用である。
- このデメリットとメリットを天秤にかけて治療していく必要がある。
高脂血症の状態を把握する
●どの血清脂質(リポ蛋白)が上昇しているか?
‐再検査のポイント
- 空腹時採血ー食後は中性脂肪(カイロミクロン)が増える
→水や糖分の入っていないお茶は飲んで良い
- LDLコレステロールの値を知る
- HDLコレステロールは低くないか?
- (可能なら動脈硬化促進リポ蛋白(Lp(a)・レムナント・酸化LDL・LDL粒子サイズなど)を測定する)
高脂血症の原因を考える
- 家族性の有無(遺伝素因)
‐FHなど
- 基礎疾患の有無
‐甲状腺機能低下症
‐腎臓疾患
- 年齢ー特に女性の閉経期
- 現在の生活習慣(環境因子)
動脈硬化の程度を把握する
- 心電図
- 頸動脈エコー
- 眼底検査
- その他
‐下肢血圧・脈波・CT・MRI・血管機能検査など
- 動脈硬化は自覚症状もなく、画像診断と動脈硬化巣の不安定化診断の難しさがあり、現状では危険因子や血液検査で類推するしかない。
動脈硬化の危険因子を把握する
- 虚血性心臓病・脳卒中の既往歴
- 虚血性心臓病・脳卒中の家族歴
- 糖尿病・高血圧・喫煙
- メタボリックシンドローム
- 他のリスクマーカー(高感度CRPなど)
目標値の設定
- 危険因子が多い人はより低く設定
- (参考)
‐一般的に食事運動ではコレステロールは10% 程度の低下
‐特定健康食品も10%程度
‐薬剤では25%から50%程度
‐中性脂肪は食事・運動・アルコール制限でかなり低下する
生活習慣の見直し
- 食生活
‐肥満・糖尿病・高血圧・脂質に対して
‐炎症に対して
- 喫煙
- 運動
- セルフメディケーション
- リバウンドしないようにー長続きできるように
- 行動(修正)療法
定期的な採血検査の重要性
- コレステロール・血糖の値をみて自覚し、現在の食事でよいか判定するのに有効である
- 薬剤内服するにも食事運動のみで様子を見るときも自分で値を把握する
- セルフメディケーションの一助
- かかりつけ医を持ち、生活習慣一般について相談する