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● PROFILE ・・・・・・・・・・・・・・・・・●
安見 昭雄 (やすみ あきお)
泉興産株式会社 専務取締役
NPO法人日本インドネシア国際協力医療センター
事務局長代理
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1935年1月17日 東京・日本橋・呉服橋生まれ
<学 歴>
1954年3月 都立第一商業高等学校卒業
<職 歴>
1954年3月 住友化学工業株式会社 入社
1972年10月〜1977年11月
沖縄国際海洋博覧会住友委員会事務従事 館長代理
(1975年6月〜1976年1月まで沖縄勤務)
1977年12月 物流管理本部東京物流管理部 副課長
1980年2月〜1981年6月 同大阪物流管理部 副課長
1984年3月 物流管理本部 課長
1984年10月 物流管理本部 部長補佐
(この間、海洋汚染防止条約=MAPOL条約の委員として日本化学工業協会および日本石油化学工業協会の下で携わる)
1991年4月 三善加工株式会社に出向、営業本部業務部 担当部長
1992年7月 同社千葉工場勤務 担当部長
1994年 泉興産株式会社出向 営業部長
1995年1月 住友化学工業株式会社 退職
1995年2月 泉興産株式会社 入社
1996年4月 取締役営業部長
2000年4月 常務取締役
2006年6月 専務取締役
2006年11月 NPO法人 日本インドネシア国際協力医薬センター
事務局長代理を兼務 現在に至る。
<執筆・発刊>
1.日本工業用水協会雑誌「工業用水」124回
2.全国地下水利用対策連合会雑誌「天の水・地の水」59回
3.日本規格協会「水のおはなし」2004年6月30日第一版
2004年10月15日第二版
<講演会>
1.1990年6月26日 全国地下水利用対策連合会「世界の水・日本の水」
於:弘済会館
2.1991年11月26日 米沢地区地下水利用対策協議会
「諸外国に於ける水事情と水の価値判断の違いについて」 於:米沢
3.1994年6月1日 株式会社 エコジャパン定例会
「水と環境、私の見た世界の水・日本の水」 於:八重洲倶楽部
4.1997年 遊学館定例会「世界の水・日本の水」
5.2005年6月17日 天地シニアネットワーク「世界の水・日本の水」
於:万世橋区民会館「地球の水・緑」
<表 彰>
1.1976年10月27日 日本物流協議会全国会議発表会「感謝状」
2.1977年1月15日 八千代市市制施工10周年記念論文「入選」
3.1977年6月7日 千葉県環境月間作文「入選」
4.1977年9月8日 毎日新聞、第3回毎日郷土提言「千葉県優秀賞」
5.1978年5月31日 千葉県、消費者の日作文「佳作」
6.2004年3月11日 日本工業用水協会より「工業用水」
(水のこぼれ話)が発刊100回を超えたことにより「感謝状」
■ 講演内容(講演資料より)
1.私と「水」のかかわりあい
〜水の出会い・水の思い出・水への憧れ〜
1)幼い頃、熱海で溺れる。
2)大山(雨降山)で谷側に落下するが、一命は取りとめる。
3)学童疎開
①「狩野川」(静岡県・湯ヶ島)の清流に、「アユ」、「アマゴ」と遊ぶ。
②母なる川「岩木川」(青森県・津軽郡)の清流に、「アユ」、「ウグイ」と遊ぶ。
4)山登りに熱中、沢登りを手始めに「谷川」の清き流れに親しむ。
5)山登りの途次、咽が渇いたので、ボウフラが湧いている水溜りにポリの水筒を入れて水を注ぎ込む。そのままでは気持ちが悪いので、ワタナべのジュースの素を入れて着色し、水筒をたたいて底にボウフラを追いやり、そのすきに水をゴクリと飲む。若くて、まだ抵抗力があったので、何の問題も発生せずにすむ。
6)「ヘドロ」との出会い、「水」と「環境」に目覚める。(静岡県・田子の浦)
7)沖縄海洋博覧会に、住友化学から委員として携わる。
可愛いらしい「熱帯魚」が泳ぐ、沖縄のエメラルドグリーンの海の虜となる。
8)世界の水を求めて旅に出る。
訪ねたところ:ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリア、東南アジア
2.世界の「水」の現状と将来
1) 地球に存在する水の種類とわりあい
「海水」—97.5%
「淡水」—2.5%—南極、北極地域の「氷」—約1.69%
—「地下水」—約0.8%
—「河川・湖沼水」—約0.01%
2)世界の「水不足」
現在の人類は、100年前に比べ6倍の水を使用し、2025年には世界人口の半分(40億人分)が不足する。中でも、中国の人口は2030年には16億人に到達する。「水需要」は7000〜8000億立方メートル(現在より1300〜2300億立方メートル増加)になる。
1人当りの「水資源量」は1700立方メートル/年となり、それ以下となると「渇水」と同様という。
3)世界の「水不足」への対策
①海水の「淡水化」
②「海洋深層水」の利用(水深200メートル以下の水)
かっては、砂漠が広がる中東地域に限られていた「造水システム」の建設需要が世界的に高まる。
現在は濾過膜による造水システムが主流で、日本が誇る逆浸透(RO膜) が大活躍している。
③大規模な「節水対策」
④「地球温暖化防止」
4)世界の「排出基準」
ヨーロッパの水は、なぜ綺麗なのか。
ヨーロッパの諸国では、基準が川の流域まで及んでいる。日本の法律は縦割りなので、そこまではなかなか及ばない。
ドイツ
「排水基準法」
「排水質管理法」—「州法」
「排出税法」—「 排水課徴金制度」
州政府は各排出者ごとに「排出許可証」(排出量、水質基準法、排出先記載)を発行する。
「汚濁物質の濃度」と「排出量」をもとに、「課徴金」を算出し、「排出者」である企業に支払請求する。
「廃棄分処理法」により、街角にアルミ製分別回収箱を設置している。
フランス
「流域委員会」の設置、「水質管理計画」
「ローヌ川」(アヴィニヨンに向かって右側)流域に延々と連なるマルセイユ工業地帯があり、石油タンクが点在するが、川の水は清く、これが工業地帯かと驚嘆する。また、「ローヌ川」と「ソーヌ川」(同左側)の合流地点であるリヨンは工場が多く、ここにも石油タンク基地があるが、川の水は全く汚染されてなく、青く清く輝きを放っている。
フランスでは「ゴミ回収船」が定期的に就航し、自然保護地区は勿論のこと、流域の隅々まで汚染物質を取り除く。
また、港湾都市、工業都市で知られる「ル・アーヴル」の海も、コバルトブルーの美しい姿を見せている。「工業排水」の恐れは全く無い。
商・工業都市リヨン及び、工業生産の活発な「ブルージュ」の河川も汚染されていない。
イタリア
「総合河川流域計画」監督機関「流域管理公団」
イギリス
「長期需給計画」イングランドウェールズ
「流域管理計画」
きれいな水はきれいな緑を育て、きれいな緑はきれいな水を育む。
ヨーロッパでは、天気が恵まれると、紺碧の空が何処までも続く。青く広がる空が近い。日本の都市部では、見られない光景だ。
5)日本の水の現状
日本は「水の国」、「豊かな国」といわれるが、食糧の自給率は40%と少ない。後の60%は諸外国よりの輸入に頼っている。従って、日本は水輸入国といえよう。それに、雨季に雨が降らないと決まって「渇水」となり、各地で「給水制限」が生じる。水の国、豊かな国とは、いえないのではないか。
節水についていえば、家庭から排出される「生活排水」の多さが目立つ。
日本に於ける排水の比率は、工場からの「産業排水」30%に比べ、家庭からの生活排水は70%となっている。
産業排水が少ないのは、工場からの「排出規制」が厳しくなったことによるもので、家庭からの規制が無いためである。依って、各家庭からの排水を少しでも少なくすることが肝要である。
<我が家の「節水」例>
①「風呂」は、週1〜2回シャワーのみとする。
②「蛇口」をこまめに閉める。
③「食用油」は、何回も濾して使い、最後は固めて廃棄する。
一方、温暖化防止についても、国、企業のみに頼らず、各家庭に於いても無駄を省くことが大切である。
<我が家の温暖化防止例>
①「冷房」・「暖房」の省力化
②無駄な「電気」の消灯
3.世界の人類にとっての「水」
1)体内の水と水の摂取量
人間の身体の70〜75%(脳は90%)は、水でできているといわれる。体重が60㎏の人は、42〜45㎏が水ということになる。乳児になるとさらに高く80%、逆に、年をとると低下する。
では、体内の水分が不足するとどうなるか。
血液の粘ちゅう性(粘りがあって密度が濃いこと)が高くなる。
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脳梗塞や心筋梗塞などを起こす危険性が高くなる。
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発熱や疲労物質の蓄積など、様々な不快な全身症状が現れる。
1日に必要な水分は、どの位か。
一般に食事に含まれる水分を含めて約2.0〜2.5L/日必要といわれる。
勿論、体重の軽重によっても必要は異なるし、夏の盛りではそれ以上に摂取する必要がある。
(注)エジプトの砂漠では、11月に炎天下は40度を超えるので、日中ペットボトルの水だけでも到底2Lでは足りない。3L位は飲んでいるのではないだろうか。(熱射病予防のため)
2)「美味しい水」・「安全な水」
①「美味しい水」
「美味しい水」とは、「おいしい水の水質要件」(厚生労働省)によると
ミネラル、硬度、炭酸ガス、酸素を適度に備えた冷たい水が美味しい水といわれている。
冷たい水は気分がすっきりとし、舌で味わう感覚も鈍くなるので、カルキ臭が気にならなくなる。また、味を良くする成分であるミネラルや二酸化炭素が適度に溶解していると美味しいという。
逆に、過マンガン酸カリウム消費量、臭気度、残留塩素の度合いが高くなると、水の味を悪化させる。
ただし、水の美味しさは様々な要件や飲む人の置かれた環境条件によって左右される。
美味しい水は、「伏流水」、「湧き水」などである。
②「安全な水」
「安全な水」とは、健康を阻害しない水のことで、世界各国で「水質基準が定められている。日本では、水道水はとくに「塩素」を含有することが義務付けられている。
美味しさと安全さを兼ね備えたのも伏流水と湧き水である。
伏流水:鳥海山 忍野八海(地上の流水が、地下に一時潜水して流れる水)
湧水:久留里 柿田川湧水(東洋一の湧水)いずれも名水百選に選定される
4.世界の「水事情」、「食事情」
1)世界の飲料水
①軟水と硬水
日本人は普段「軟水」を飲用し、「硬水」を飲み慣れていないので、「生水」を飲むと「一過性の胃腸病」になることがある。(胃腸の弱い人は特に)従って、生水は飲まずにペットボトルの「ミネラルウォーター」のNONE GAS(炭酸ガスなし)を飲用するのが無難である。
(注)同行のメンバーで、生水を飲んで下痢を生じ、体調を崩した人もいる。
(原因)
硬水は「マグネシウム」を含み、便をやわらかにする成分が入っている。
そのため、胃腸の弱い人が硬水を多用すると、下痢を起こす。また、ガス入りは硬度が高く、口に合わない。
外国人及び同行の日本人添乗員、現地日本人ガイドは、硬水を飲み慣れているので、ホテル、レストランの水道水、道中の水飲み場でも平気で飲用しているし、ガス入りのミネラルウォーターを利用している。普段から飲んでいるので、免疫となっている。
2)「生水」を安心して飲める所
①オーストラリア
「エアーズロック」の「地下水」
②オーストリア
アルプスの「湧き水」
③スペイン
グラナダ、マドリード
④フランス
モナコは山からの「湧き水」を浄化,
ブルーニュの「地下水」(名酒の里)
⑤スイス
ジュネーヴ、チュウリッヒ
⑥チェコ
水は美味(チェコはビ-ルの国、1人当りの年間消費量世界一)
⑦スロヴァキア
ビルゼンは「超軟水」、ラガービールを生産
(注)雪解け水は、石灰も多く含んでいるので、あまり多用するとお腹に溜まっていけないという説もあるが、全く問題無しとする意見も多い。
3)ペットボトル(ミネラルウォーター)
フランスはペットボトルの水に関する品質基準が厳しい。従って、フランスのエビアン、ヴィッテル、ボルヴィックは安心して飲めるし美味しい。
とくに、エビアンはスイスのレマン湖の対岸のフランス南東部に位置し、ここが採水地になっている。
また、ボルヴィックには、日本では想像もつかない5L入り(家庭用)があり愛用されている。種類もあり、安全で美味しいので、何処の国に行っても必ず置いてある。従って、購入するときはフランスのものが主流となる。勿論、地元のものも購入するが、中でも、オーストラリアの「フラットミネラル」、ベルギー、オランダの「SPA」(アンデス地方の「クイン・スパ」から湧き出る鉱泉)が美味しい。
また、ドイツのものは飲むと舌触りが固く感じられる。なお、エジプト、モロッコのものも十分飲める。
4)「生水」以外の飲食物の安全性の是非
①エジプト
「生野菜」、皮をむいた「果実」はそのまま食べると下痢を起こす恐れがあるので、避けた方が良い。生ものを取扱う人たちと器具などに衛生上の不備があるとのこと。細菌が付着している恐れがある。
食した同行の34名の内3分の1が下痢の症状を起こし、体調を崩す。
ただし、「マンゴフレッシュジュース」は、飲用しても下痢を起こさず美味しい。どういう訳か、いまだに原因は不明である。同行の3分の1が食事の折に飲用したが、ほとんど問題無い。
②モロッコ
「生野菜」、「果実」はそのまま食べても問題無い。
ただし、市場や屋台などで切り売りされてハエがたかっているようなもの「生野菜」、「果実」は避けた方が良い。管理が悪い。また、「サラダ」も要注意である。
「ヨーグルト」、「アイスクリーム」などの乳製品は、細菌が発生し易い成分が入っており、「湿度」の管理が悪い不衛生な屋台やレストランでは、「食中毒」や「赤痢菌」に感染する恐れがあり避けた方が良い。また、テトラパックの「牛乳」の生ものも避けた方が良い。
旅の途次の休憩で、現地の人が手作業でしぼった「レモンフレッシュジュース」は、飲んでも下痢の症状を起こさず問題は無い。味、香りとも良く美味しい。
③トルコ(イスタンブール)
「生野菜」、「果実」は、そのまま食べても問題無い。
旅の途次のフリータイムで、現地の人の手作業でしぼった「イチジクフレッシュジュース 」を飲んだが、下痢も起こさず問題無い。
5.世界の「水」と「緑」の神秘と不思議
1)砂漠編
①スフィンクスの鼻はなぜ削られたのか。(エジプト)
スフィンクスの身体と周囲の壁による水の浸食の跡がある。(紀元前1万年前)
現在は降水量も少なく、砂漠は乾燥しているが、最後の氷河期(紀元前1万年前)に氷が溶け出し「大洪水」となる。
強風が吹くと周囲の砂を巻き上げ、スフィンクスの表面の岩を削りとる。(風化)建設時が雨天で削られる。
スフィンクスは、もとからそこにあった大きな石灰岩を削って造られたもので、石灰岩そのものが水の浸食に弱く、風化の影響を受け易い。
②スフィンクスの首が折れるのは時間の問題(エジプト)
胴体を分断するような大きな亀裂が走って、首から胸にかけて表面の岩がぼろぼろと崩れて痛々しい姿をさらしている。
現地の研究者は「気象の変動や人口増加によって、この10年で急激に悪化した。塩害が原因だ」とみている。また、「このままだと100年しないうちにスフィンクスの首が落ちる」という。
スフィンクスと同じ材質の岩と周辺の「地下水」に多くの「塩分」が含まれている。岩に滲み込んだ地下水は塩分を溶かし、その後に蒸発する。
岩の細かい隙間で再結晶化した塩が亀裂を広げ、崩壊していくことが分かる。
その昔、ここは「海底」でつくられた石灰岩が隆起した場所である。その岩を削って造られたスフィンクスに、もともと塩分が含まれていたのである。
ピラミッドやスフィンクスは、砂漠のど真ん中にある印象が強いが、実際にはその近くまで住宅街が迫っている。周辺は、人口増加による都市化が進展し、食糧増産に向けて農地が拡大する。その影響を受けて、地下水の変動が激しくなり、塩分が溶け出して被害が拡大したとの指摘がある。
③ナイル川の氾濫は、デルタ地帯に田畑を潤し、エジプトの農業を繁栄させる。
ナイル川の氾濫は「アスワンハイダム」の設置によって治まる。アスワンハイダムの水はとても綺麗だ。(エジプト)
④ナイル川の流れは意外と綺麗で、浮遊物は見当たらない。様々な魚が生息している。(エジプト)
上流、中流、はもとより、下流も汚染されていない。中でも砂漠街道の田園風景のナイルの流れは美しく川の水が澄んでいるので、道端の木々が水面に綺麗な姿を映し出している。
また、エジプトの漁師たちは川の汚染度が進んでいると嘆くがアロワナを始めとしテラピア、ナイルパーチ、シーバス、イズミダイなど様々な魚が生息している。うなぎも住んでいるという。
⑤砂漠の彼方に「蜃気楼」(エジプト)
バスで移動中、果てしなく続く砂漠の彼方に「蜃気楼」が姿を現す。
延々と流れる「川」が見え、その向こうに島々が浮かぶ。
⑥砂漠に朝焼け、夕焼け、それに虹の出現
延々と広がる砂漠の大地に、茜色に輝く朝焼け、夕焼けそれに七色の見事な虹が出現する。空気が澄んでいて環境が整っているせいだろう。
⑦砂漠に生きる小動植物は、乾季のときは砂漠に潜って水脈を探り当てて生きているし、雨季になると外に飛び出して水を補給して生き延びる。
動植物の知恵と生命力は素晴らしい。(オーストラリア)
⑧一年中涸れることのない「マギーの泉」と「井戸」(オーストラリア)
「マウント・オルガ」の岩の隙間から「水」が湧き出ている。
「マギーの泉」は、一年中涸れることなく水を湛えている。
先住民アポロジニの聖地となっており、この広い砂漠の何処から来たのか、スイスイと泳ぐゲンゴロウと一緒にアポロジニも水浴びする。
また、砂漠の真っ只中に綺麗な「地下水」を汲み上げる「井戸」があり、いまでも涸れずにアポロジニの「飲料水」として使われている。
⑨砂漠のど真ん中に生き続ける半身付随の1本の木(同上)
砂漠真っ只中に、半分は枯れ、あと半分は青々繁茂している1本の木がある。砂漠は極端に水が不足するので、同じ1本の木で枯れた枝の方へは水を決してやらない。繁茂している枝の方にだけに水を送る。砂漠で生きるための知恵であり、摂理である。
⑩砂漠の命「カナート」(地下水路)
乾燥した大地が広がる砂漠に突如オアシスが出現する。「カナート」と呼ばれる「地下水路」だ。これは、人間や動植物が砂漠で生きるための貴重なものであり、砂漠の産物「ナツメヤシ」も生育されている。
⑪「モン・サン・ミッシェル」干満の差
ノルマンディの孤島の切り立つ断崖の上にそそり立つ「西洋の驚異」と謳われる「海上修道院」が「モン・サン・ミッシェル」である。遠浅の海の周囲僅か1キロメートル、海抜80メートルの小島は、80年の歳月をかけ30キロメートルも離れた石切り場から船で石を運び、1つ1つ岸壁を築いていったと伝えられる。この付近は「干満の差」が激しく、15メートル(大潮の日の潮の早さ60メートル/分=馬の駆ける速さ)もあり、世界最大級という。
自然の驚異は、大潮の日の日の出と共に始まる。「海の孤島」は、その素晴らしい姿を誇らし気に海上に浮かび上がらせ、幻の奇跡となる。
干潮時になると、「海の水」が全部引いてあたりは「干潟」のようになって羊たちが草を蝕む牧草地となる。海の水が引いたモン・サン・ミッシェルの姿は、「妖精の煙突」または「天空の聖地」と呼ばれている。
かって、干満時の海の道を歩いて渡っていたが、運悪く満潮時に遭遇し海難事故が生じる。その対策として、堤道がつくられ、渡る人の事故は無くなったが、反面、川よりの流れが堰き止められ、土砂が堆積、船が出航出来なくなり、漁業に支障を来たす。近年、豊富な魚貝類に変化が生じ魚の量が減少、中でも、フランスの7分の1(1万トン/年)を占めるムール貝などにも、被害を及ぼす。
フランスは、「フランスの至宝」とまでいわれるロマネスクやゴシックが混ざった独特の様式の幻想的な建造物とその周辺に漁業を営む人たちのことを考え、2億ユーロの金を投じて、周辺の修復を実施するといわれる。「川」に「ダム」、「人口運河」をつくり、干潮時のときに一気に沈殿物を流す。堤防、駐車場を無くして、「橋」を架けるという。
⑫動力源に頼ることなく土地の自然の傾斜を利用「噴水公園」
ナミールにある「アンヌボア城」は、機械を一切使わない「水の公園」で、まるで扇のように開く「噴水」、自然を模して流れる「滝」、優雅な「水の階段」など、見事に見せてくれる「噴水庭園」である。
随所に噴水を配した12ヘクタールの素晴らしい庭園は、全てが「湧き水」で、しかも一切動力源に頼ることなく、土地の自然の傾斜を利用している。
緑したたる庭園と、勢いよく噴き上げる噴水が溶け合い一体となって、心地よい雰囲気を醸し出している。
⑬澄んで綺麗な水が表面張力を演出「虎跑泉」
「虎跑泉」は西湖と銭塘湖の間の山間部に位置している。この周囲にある「砂岩層」は、割れ目が多くて水が浸透し易く、そこは「地下水」が豊富な場所なのである。湧き出る「泉水」は溶けにくい「石英沙岩」の中に流れ出てくるので、味が豊かで、鉱物質の含有量が少なく、分子密度が高いので、表面張力が強いのだ。
碗になみなみと注いでも3mmも盛り上がり、こぼれにくく、日本の一円玉が、水の表面に見事に浮かび上がる。泉水は清らかで甘く、この水でたてた「龍井茶」は、古来より「西湖双絶」(西湖第一級のもの)といわれる。「天下第三泉」と呼ばれる「名泉」で知られている。
⑭青く、美しく輝く「湖」(スイス)
「スイス・アルプスの氷河」が溶け出した水は上流の川では白く濁っている。氷河が削った岩盤の中に含まれている成分(石灰質や様々な鉱物質)や細かな砂などが混ざり合って勢い良く流れ出している。このミルク色は、「氷河ミルク」(グレッシャー)と呼ばれ、「氷河融水」である。
この氷河ミルクが太陽の光に映えて、「エメラルドグリーン」、「コバルトブルー」に青く美しく輝くといわれている。
(例)「ブリエンツ湖」、「チューリッヒ湖」、「レマン湖」
6.世界の「水」と「緑」が「自然環境」を守る
1)オーストラリア
①世界最大の「サンゴ礁」(グレートバリアリーフ)
およそその距離2300キロメートル(パプアニューギニアのトレス海峡からグラッドストン沖に至る)に及ぶ「グレートバリアリーフ」は世界最大の規模を持つ「サンゴ礁群」である。200万年前から枝サンゴが成長し始め、2900個、400種のサンゴが存在する。(日本列島と同じ規模)
ここは、海水温度20度以下、太陽の光、水深50メートル以下(実際は20メートル〜30メートル)とサンゴ礁が形成されるための3つの条件が揃っており、その上、「海水」が汚染されていないので、サンゴにとって最適な場所である。「海」は透明で、沖縄の海より美しく1500種の魚が生息する。
②手つかずの「熱帯雨林」
1億3千万年前の原始時代の植物で、手つかずに残る「世界最古」の最も美しい森である。90ヘクタールに及ぶ広さを持ち、160種の植物が存在する。先住民アポロジニが暮らした所で、自然豊かな森から食料や薬など、暮らしに役立つものを調達する。先人の知恵である。森の中は今も綺麗な水が流れている。植物たちは、太陽の光を求めて、少しでも高く伸びていこうという逞しい生命力がある。
2)スイス
①「水」と「緑」が綺麗な、ヨーロッパ最大の湖「レマン湖」
湖と車道の間に2本のグリンベルトがあり、湖畔には、分別ゴミ回収箱を設置している。
お蔭で、街中にあっても勢い良く噴き上げる「大噴水」と周囲の景色が、とても素晴らしい。平均水深154メートル、最大水深330メートル、水の色は藍色で美しく、透明度は21メートルに及ぶといわれる。毎年、レマン湖水質保全国際委員会が、レマン湖沿岸水質マップを発表する。
②美しい「自然環境」を守る人々(山岳リゾート)
「環境汚染」を回避し、スイスの大自然を満喫してもらおうと、山岳リゾートの村々が「ガソリン車」の「乗り入れを禁止」する。
ツェルマットに向かうバスの大きな車体が有蓋貨車の中にスッポリと吸い込まれる。ガソリン車輛の乗り入れ禁止区域に入ったため、途中の駅から同地域を通過する迄、貨車に車輌を積み込み、その地域を通り抜けてから車輌をおろす。
さらに、ツェルマットにも乗り入れが禁止されているので、私鉄の1つ手前のテーシュの駐車場に車を止め、人だけ車輌に乗り換えてツェルマットに入る。ツェルマットの駅前には、馬車の出迎えがあるが、5つ星ホテル宿泊の客用で、それ以外は「電気自動車」を利用する。
ホテルのテラスより眺めるマッターホルンは、素晴らしい。夕闇の中に消える姿も、朝日に照り輝く勇姿も、見ている者に時の経過を感じさせない見事な景観だ。
ミュレンもウェルゲンもツェルマットと同じく、ガソリン車乗り入れ禁止のリゾートだ。3つの村は、観光客がそぞろ歩きするメインストリートまで車の騒音と排気が全く無いので安心して歩くことができる。ガソリン車がそこにいないことが、こんなにも雰囲気を変化させるものかと驚く。これ程までに静寂さが心を落ち着かせるものなのだろうか。華やかな喧騒の都会では、決して味わうことのできない全てを、この3つの村の大気が訪れた人たちに与えてくれる。
こうした山村の努力によって、マッターホルン、アイガー、メンヒ、ユングフラウなどの山々の自然環境が見事にも守られている。
なお、スイスでは、幼い頃から環境の勉強をさせている。
③大都市に綺麗な「川」の流れ(チュムリッヒ)
「チューリッヒ」は、大都市(スイス最大の都市)でありながら、「チューリッヒ湖」の北端と「リマト川」沿いに佇む、水や緑の多いこじんまりとした小都市の魅力も兼ね揃えている。
市内を静かに流れる「リマト川」は、川幅20メートル、高さ5メートル以上の石積みの直壁護岸があるが、改修工事によって水際まで降りられ手が差し伸べられる。水も綺麗で、魚の数が予想以上に多く、マガモやオオバン、それに白鳥の姿も見える。
3)ドイツ
街角にアルミ製のゴミ分別回収箱の設置されている。家並みも綺麗で、清潔感が溢れている。ドイツ人の気質の現れだろうか。
日本に、もし設置したらどうなるだろうか。恐らく、違反者が出てゴミが外にはみ出して、あたりを汚してしまうだろう。
4)フランス
①街のCO₂削減(パリ市街)
パリでは、自動車から排出されるCO₂を削減し、少しでも街を綺麗にしようと、街に繰り出す車輌を減少させる試みとしてエコ自転車の貸し出し(1日1ユーロ)を実施している。
②「セーヌ川」の「緑」と建物の調和
セーヌ川は、川の両岸に立ち並ぶ緑の木々と建物の高さに法律上の制限がある。(20メートル) そのため、高さに凸凹が無く、見事なまでに揃っている。また、建物の色彩も協調性があり違和感が感じられない。
日本の隅田川は、緑の木々もあまり無く、建物の高さもさまざまで色彩の調和も全く無い。隅田川に比べると、セーヌ川の景観は格段上である。
③緑の木々と放射線状に広がる道路が街の景観を引き立てる。
パリの街角に立つと、放射線状の道路と「街路樹」の「マロニエ」が街を彩る。
5)オーストリア
ウィーンの市内は落葉高木の「マロニエ」が車道の両側にそれぞれ2列ずつ生茂って美しい景観を作っている。環境も良く、排気ガスもすこぶる少ない。
6)オランダ
「キューケンホフ公園」の32ヘクタールもある広々とし園内には、チュウリップ、ヒヤシンス、水仙などの春の「球根花」が咲き乱れている。
空高く「噴水」が噴上げ、「池」に戯れる白鳥たち、それにその周囲を取り囲むように、色とりどりの花々や樹木の数々が顔を見せる。
7.世界の「地球温暖化」がもたらす「自然界」の「異変」
1)「氷河」の「崩壊」(後退)
2050年には、スイス・アルプスの氷河の4分の3が氷解するという。
(欧州連合=EU欧州環境庁=EEA発表)
地元の人たちは、2060年には完全に消滅してしまうと心配する。
欧州の「平均気温」は、過去100年の間に0.94度、世界の他の地域の平均上昇分の0.7度を上回る。
2100年時点では、世界の他の地域では1.4度〜5.8度の気温上昇が見込まれるのに対し、欧州では2.0〜6.3度の上昇が予想される。
冬の積雪量も、年々減少している。
①「ローヌ氷河」(グレッチュ)
伝統のホテル(ローヌ氷河ホテル)が創業した当時は、「ローヌ氷河」の横にホテルがあったというが、年月を経てかなり後退したので、現在ではホテルの奥に氷河が望める。氷河が溶解していった跡には、氷河の水が流れる「湿地帯」になっており、「自然保護地域」に指定されている。
②「アレッチ氷河」(グリンテルワルド)
「スイス・アルプス」が造り上げた理想的な「自然の芸術」といわれるスイス・アルプス最大の「アレッチ氷河」厚さ1キロメートル、長さ約24キロメートルを誇っていたが20キロメートルに縮小している。
夏になると、日本人観光客が訪れるこの氷河は、その昔は村まで氷河が迫り、氷河見物できる村として有名だったが、今では村はずれから奥に入ったところまで後退し、訪れる人も少なくなる。
1990年頃までは、白一色に覆われていた右岸も、今は黒々とした土が露出している。残念乍ら、毎年30〜50センチメートルずつ後退しているといわれている。
アルプスのお花畑を愛でながら歩いていくと、眼下に広がる氷河の後退が目に付く。その昔、氷河が村を襲いホテルや家々を破壊したというが、今やその面影は全く無い。その頃は、氷河の全貌が舌に似ていることから「悪魔の舌」と呼ばれ恐れられていたといわれる。
なお、縮小を続けているアレッチ氷河が、もしも無くなる頃には恐らく人類が住める地球環境は存在しないだろうという見解が、研究者たちの間で一致している
2)「海面上昇」による島の「水没」
海面上昇で、最初に「海」に沈むといわれる南太平洋の「ツバル」、インド洋に浮かぶ群島「モルジブ」、オーストラリア沖の「グリン島」などが挙げられるが、オランダも油断できない。
オランダは、正式名称「ネーデルランド」(低地の意)で、山脈は一切無く、「海」よりも低い所が3分の1で、堤防に囲まれた低地であるためこう呼ばれている。(因みに、オランダの空港は、海より低い所にある)
オランダでは「水位」が高く、水が多いため栽培ができないとのことで、「牧草地」が目立つ。牧草地の景色も、まるで水に浮いている浮島のように見える。水を引いている訳でもなく、とにかく水が多いのだ。
この国では、低地が多いことに加えて、「運河」、「湖」、「川」が多く存在し、海面上昇などで一旦事が起これば、「洪水」、「水没」の危険性をはらんでいる。
そんな中、オランダに於いては、「水管理」に力を注いでいる。
オランダの土地は、「ポルダー」の集合体である。ポルダーは、「堤防」と「水路」に囲まれた「干拓地」だが、この堤防のメンテナンスや「水路」は重要な管理だ。「泥炭地」で「排水」された水は、「水車」や「ポンプ」でより高い水路に順次汲み上げられていく。そして、最終的には「海」につながる場所が一番高い水路となっていて、大規模な「排水機場」が「膨大な水」を排出するのだ。
この一連のシステムが上手くいかなければ、土地はすぐに水で溢れてしまうだけに、水管理の仕事と責任は重大である。
また、ベニスやドイツのドレスデンでは、「高潮」が押し寄せ街が水浸しになる。なお、日本の九州地区では、波が上流に押し寄せる「副振動」という現象が起こり被害が出ている。