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前回までの文祥堂フォーラムのご紹介
第283回 最先端のアンチエイジング医学から
 
〜人より20歳若く見えて、20年長く生きるために〜
2009年4月15日
 「アンチエイジング」と云う言葉にどのようなイメージをもっていますか。サプリメントや化粧品、食品など、さまざまな「アンチエイジング」商品が巷にあふれています。いまでは、耳にしない日がないほど“アンチエイジング”は一般的な言葉になってきました。しかし、言葉が一般的になればなるほど、アンチエイジングという言葉のもつイメージが曖昧になりつつあるのを感じます。
 人間には2つの時計があります。1つは暦の年齢、これは全ての人に平等です。もう1つは生物学的年齢、これは身体の機能や健康状態から見た年齢のことで、個々によってかなりの違いがみられます。同じ60歳でも、生物学的年齢から見ると40歳の人もいれば、60歳の人もいます。その違いを説明するならば、それは血管・酸化度・栄養状態です。
 これからは、病気を治してもらうという受身の医療から、自分で自分の健康をつくり、管理し、理想的な健康状態を手に入れる時代です。それをわれわれが医療的にサポートして一緒に健康でごきげんなライフスタイルを手に入れる、これがアンチエイジングの本質です。
 最新の医学情報を提供しながら、豊かで充実した人生を支える健康の価値について改めて考えなおす機会を提供したいと考えます。
(澤登 雅一)





























































澤登 雅一 氏写真
PROFILE ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

澤登 雅一 (さわのぼり まさかず)
三番町ごきげんクリニック院長
医学博士
1992年 東京慈恵会医科大学卒業。
内科研修後、日本赤十字社医療センター血液内科勤務。
2005年 〜三番町ごきげんクリニック院長。
医学博士、東海大学血液腫瘍内科非常勤講師、日本抗加齢医学会評議員、米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医、日本内科学会認定専門医、日本血液学会専門医、日本医師会認定産業医、
趣味として、フルマラソンを走り、チーズプロフェッショナルの資格を持つ。
日赤時代はアフリカや神戸の震災の現場へも参加
TBS「これが世界のスーパードクターだ!」にも出演



■ 講演内容(講演資料より)

年齢を重ねることは、決してマイナスのイメージばかりではありません。年齢を重ねるにつれ、生きるための知恵が身につき、人格も厚みを増すといったことは、よく言われることです。しかし、「年を重ねることと」と「老いること」には大きな違いがあります。老いの一番の弊害は、「年だから」というあきらめです。脳も筋肉も、鍛え始めるのに遅いということはありません。たとえ何歳になっても、鍛え始めれば、脳も筋肉もそこから成長を始めます。つまり若返りを意識することは、新たな成長の始まりなのです。

同じ年齢の人でも若く見える人もいれば、老けて見える人がいます。例えば、同じ50歳でも40歳に見える人もいれば、60歳に見える人がいます。この違いは何なのでしょうか?若く見える人にあって、老けて見える人に無いものとは。白髪がない、皮膚に張りがある、しみ・しわがないなど、外見は一番分かりやすい判断基準かも知れません。それでは、見た目が若い人は、たまたま若く見えるだけなのでしょうか?決してそんなことはありません。

我々は、人の外見以外にもさまざまなところに若さを感じます。ふるまいや発言、考え方。例えば、ゴルフをするときにカートに乗らない、常に前向きであり、新しいことに向かっていく気持ちなど。生活習慣、ストレスコントロール、人との関わり、考え方など、ライフスタイルすべて、生き方そのものに若さの源があります。そのように考えると、年齢よりも若く見えるということは決して偶然ではなく必然であるといえるのです。



アンチエイジング医学との出会い

 私は広尾の日赤医療センターで、15年近く白血病や悪性リンパ腫といった血液のガンを診て、抗がん剤治療や放射線治療、骨髄移植、臍帯血移植などを行ってきた。常に人の死と向かいあって、がんを治すことに専念していたのだが、あるときから病気にならないための医学的貢献を考えるようになった。
 6年ほど前にアメリカのアンチエイジングのクリニックに行った。そこで、りんごを頬張り、ニコニコしながら点滴を受けている人たちを見て、非常に違和感を覚えた。日本の病院で、笑いながら点滴を受けている人など見たことがなかったからだ。答えは簡単であった。この人たちが受けているのは、ビタン、ミネラル、あるいはアミノ酸など、自分たちが健康で長生きをするために必要な点滴だったのである。つまり、病気ではないけれど、週に1度か2週に1度、クリニックに通う。点滴が終わってからも知らない人どうしが談笑している。日本にもこういうクリニックがほしいと思ったことがきっかけで、クリニックを始めたのである。


今、なぜアンチエイジングなのか

日本の現状を考えてみると、
  1. 少子高齢化
  2. 医療費増大
  3. 国からの補助の問題

 日本の21世紀の医療は、少子高齢化により若い人に頼ることが難しくなり、現在3割の医療費の自己負担額が増えることも予測され、さらに、国からの補助も期待できない。今までのように病気になってから病気を治してもらうという医療ではなく、なるべく寿命を全うするぎりぎりまで元気でいることが必要になる。このような背景から、アンチエイジング医学の必要性が高まってきた。


サザエさんは何歳? 〜平均寿命と健康寿命〜

 ここでちょっと突然だが、『サザエさん』に出てくる波平の年齢は54歳で、サザエさんは24歳であるのをご存知だろうか?今の時代であればサザエさんが40歳、波平が60〜70代だといっても全く驚かない。しかし、サザエさんが始まった昭和30年代には、日本の平均寿命は男性が58歳で、女性は61.5歳だったから、波平はあと4年もすれば平均寿命に達するわけである。今の日本の平均寿命は、WHO(世界保健機構)の2007年発表のデータによると、男性が78.64歳、女性は85.59歳。平均寿命から逆算すれば、波平が70代に見えても不思議はない。この日本の平均寿命は、女性は世界1位、男性は2位と、長寿である。
 ところが、健康寿命はどうだろうか。健康寿命とは、何不自由なく生活できる寿命。日本人の平均寿命と健康寿命の差は7年ぐらいである。本当に元気な状態から突然亡くなる人もいるし、10年以上辛く苦しい思いをしながら寿命を全うする人も多い。この平均7年という期間をいかに短くするかが、アンチエイジング医学のひとつの役割である。
 人間の今の寿命は遺伝子をいじらない限り、科学的には120〜125歳が限界だといわれている。しかし、120歳まで元気で生きようと思っている人は1割もいないだろう。なぜなら、年をとればとるほど生活のレベルは落ち、何もできなくなると思っているからだ。
 しかし、アンチエイジング的な生き方では、例えば40代や50代の肉体と精神を持って80代や90代を生き、寿命のぎりぎりまでなるべく生活のレベルを落とさない。ここの道筋を立ててあげることも、アンチエイジング医学のひとつの役割になる。


老化のスパイラルから若返りのスパイラルへ



2つの時計 〜バイオロジカルエイジを知る〜

人間には2つの時計がある。
  1. 暦の年齢(クロノロジカルエイジ)で、これは万人に平等に訪れるもの。1日は24時間、1年は365日か366日で、これは誰にも変えようがない。
  2. 生物学的年齢(バイオロジカルエイジ)は、体の機能あるいは健康状態から見た年齢のこと。例えば50歳の人が10人いると、バイオロジカルエイジは10通りである。
    その人の生活習慣や、50年間生きてきた環境によって大きく左右される。老眼や腰痛、物忘れなど、一般的に老化現象といわれるものの3割は暦の年齢によるものだが、残りの7割はバイオロジカルエイジによるものである。

この7割によって起こる老化は避けることができ、バイオロジカルエイジは取り戻すことができる。不必要にすすんでしまった老化や必要のない老化を取り戻すことによって、若返る、それこそがアンチエイジングである。


アンチエイジングの3本柱

  1. 血管を若返らせる!
  2. 身体をさび付かせるな!
  3. 良好な栄養のバランスを保て!


血管を若返らせる

 動脈硬化とは、動脈が硬くなってしまうことだが、イメージとしては古いゴムホースである。新しいゴムホースは軟らかく弾力性がありホースの中もきれいなので水も勢いよく流れる。ところが、1年ぐらい屋外に放っておくと、だんだん硬くなってひび割れて、中にもゴミや泥がたまって、水の流れが悪くなる。それと同じ現象が、動脈に起こるのである。血管全体が硬くなり、血管の内側にゴミがたまって血液の流れが悪くなるのである(下図)。

    

 その老化の原因には、高脂血症、高血圧、糖尿病、肥満の4つがある。内臓肥満をベースに、高脂血症、高血圧、糖尿病のうち2つの病気があればメタボ  リックシンドローム。少し前までは「死の四重奏」と呼ばれていた。
 メタボリックシンドロームは、動脈硬化をすすめてしまうため、脳梗塞、心筋梗塞あるいは認知症の原因となる。これらの病気になったら健康寿命はまず短くなってしまう。
 従の医療では、これら高血圧、高脂血症、糖尿病の人たちを治療していくわけだが、アンチエイジング的なアプローチでは、もちろんその患者も対象になるが、予備軍の人たちを対象としている。これらの病気の原因で一番問題になるのがストレスで、それが血管以外にも体に悪さをしている。
 次にタバコ。喫煙は肺がんのリスクが高くなるが、ヘビースモーカーでも肺がんにならない人もいる。ところが、タバコを吸っていて動脈硬化にならない人はいない。タバコは百害あって一利なしである。


キレーション療法とは

 キレーション療法とは、いわゆる代替医療に相当する、アンチエイジングのクリニックなどで盛んに行われている治療である。動脈硬化、例えば狭心症、心筋梗塞、あるいは糖尿病による動脈閉塞で足を切断しなければいけないような場合、そういう動脈硬化性の病変に対して、アメリカでは100万人以上の人が受けている点滴治療である。
 例えば、心筋梗塞や狭心症で重度なものはバイパスの手術や、カテーテルの治療などを行う。しかし、その手前の状態にある人の場合、食事や運動のアドバイスを受け、血管が少し詰まりにくくなる薬をもらうだけだ。アメリカなどでは、そのような人たちに予防的に点滴をしたり、あるいは1回心筋梗塞を起こしたり、糖尿病で血管が閉塞しかかっている人などに、治療目的でこの点滴を行っている。
 キレーション療法は、本来は有害な重金属を取り除くための治療で、1940年頃から行われているものである。ペンキなどを塗る職業の人が、鉛がたまって鉛中毒にならないように、定期的に重金属を体から出す治療である。ところが、1950年代に、この治療が動脈硬化に効果があることに気づいた医師がいたのである。
 その後、徐々にデータが集積してきて、アメリカでは今、国立衛生研究所の主導で、動脈硬化に対する効果を確認する臨床試験が5年がかりで大々的に行われている。アメリカでもまだ保険が利かないが、通常の動脈硬化に対する治療プラスアルファの治療として、かなり広く受け入れられている。
 標準的治療が優先されるべきことはもちろんであるし、こういった治療の問題点として保険が利かないことが挙げられるが、合併症で手術などの治療ができない場合や、発症や再発の予防としては選択肢の一つとして考えてもいいのではないか。


さびつき(酸化)は万病のもと

「身体がさびつく」とは、皮をむいたリンゴを放っておくと表面が茶色くなるのと同じことだ。


酸化

 これと同じことが、我々の体の中でも日々起こっている。呼吸をして、酸素を取り入れて、二酸化炭素を吐き出すことは生命の営みに必要な行為であるが、その取り入れた酸素の数%は活性酸素に変化し、活性酸素は体の中で酸化の原因となる。
 しかし、我々の体がリンゴやくぎのように茶色くならないのは、体の中に抗酸化システムが備わっているからである。ただ、問題な点は、抗酸化システムは20-30代ぐらいをピークにどんどん衰えてしまう。一方、酸化の原因は日々高まっているといる。
 酸化のもとになる活性酸素は、呼吸をすることにより生じる以外に、60兆個ある人間の細胞がエネルギーを作りだすときに副産物として必ず発生する。外からの細菌やウイルスを排除する働きがある活性酸素だが、過剰に発生すると体にさまざまな影響を与える。

過剰に酸化が起こる原因

・偏った食事
・過度の心身ストレス
・激しすぎる運動
・過度なアルコール摂取
・喫煙
・食品添加物
・環境
・電磁波
・重金属汚染
・過度な太陽光照射(紫外線) など

身体の酸化が進むと、老化や動脈硬化、皮膚のしみ、しわ、脳の病気、心臓の病気、肺の病気、おなかの病気、糖尿病、アレルギー、関節の病気、目の病気、がんに至るまで、ほとんどの病気に、直接的、間接的に関わってくる。


体をさびつかせない力をつける

 可能な限り酸化の原因から遠ざかるというのが、アンチエイジング的な生活である。しかし、酸化の原因をゼロにはできないので、酸化に対抗する力を積極的につけるプラスの医療を実施していくしかない。体の中には酸化に対抗するいろいろな力が備わっている。グルタチオンやCoQ10というのも体内に存在する抗酸化物質である。
 老化のメカニズムで、科学的にエビデンスレベルが高いものが2つある。すなわち、体が錆びつけば老化がすすむということ。それから、カロリーを制限すると寿命が延びる。これは種を越えて、哺乳類でも証明されている。ただ、カロリー制限というのは、カロリーを従来の6〜7割に抑えて、その少ないカロリーを細々と倹約しながら使っていくというイメージなので、冬眠生活のようなもので、あまり楽しい人生にはならないかもしれない。


重金属汚染は現代病?

 酸化の原因のひとつに、水銀やヒ素、鉛など重金属の蓄積がある。これらは、食べ物、飲み物あるいは皮膚を通して慢性的に体内に蓄積し、だるい、頭が重い、疲れやすい、など誰でも持っていそうな症状がみられる。血液検査をしても大抵は異常が出ず、エコーやCTを撮ってみたところで、はっきりした病気が見つからないことが多い。従来の病院やクリニックでは、病名がつかなければ対処療法しかない。頭痛があれば痛み止め、肩こりであれば筋肉をちょっとほぐすような薬を出すことになる。
 アンチエイジングの分野では、病気を診ていくのではなく、健康を見ていくので、こういう症状があるのは、何かしらおかしいところがあるはずだと考える。そして、今は特に環境が悪くなっているので、原因のひとつである重金属をチェックする。毛髪でスクリーニングし、異常がある場合は、尿で精密検査をする。
 日本人は少ししか魚を食べない人でも、欧米人と比べれば魚を食べる民族なので、水銀はかなり体の中にたまっている。30年位まで使われていたアマルガムという歯の詰め物も水銀なので、まだ残っているならすぐに取り除くべきである。
 妊婦の場合は、新生児の水銀中毒を避けるために、厚生労働省が魚の摂取制限を出している。成人の場合は、メンタルへの影響で、うつ、パニック障害、情緒不安定などの異常が起こる。アトピー性皮膚炎のような症状やアルツハイマーの原因になるとも言われている。また、カドミウムやヒ素の蓄積は、発ガンの危険がある。
 重金属がたまって体に不調を来し、やがてそれを放っておくと病気になっていく。早めに積極的にアプローチしていくと、病気から遠ざかることができる。

有害ミネラル検査



良好な栄養バランスを保つ!

 今の日本人は、栄養はすごく足りているが、本当に必要な栄養は極端に足りないという現象に陥っている。
 不足する最大の原因は、食事から摂ることができる栄養素の限界である。一番の原因は土地がやせてきているからで、他にも、農薬や化学肥料や農業の機械化といった要因がいろいろある。当時と最近の年代の農作物の栄養成分表が発行されているので、それを比較すれば、何もにんじんに限ったことではないことも理解いただけると思う(下表)。だから、「自分は野菜やくだものをしっかり摂っているので栄養は十分に足りている」と言える時代ではなくなってしまったことが問題なのである。
 アメリカのクリニックでは点滴、いわゆる栄養療法で、その人に足りない栄養をしっかりと摂って体の機能を万全にしていくことが行われている。



人間ドックや健康診断の結果で安心していませんか?

 人間ドックや健康診断も予防医学の範疇に入るが、これはあくまでも病気あるいは病気の予備軍を見つけるためのものである。したがって、基準値というのがひとつの判定の目安になる。つまり、基準値内なら問題なし=“健康”という解釈になる。ところが、健康診断では、肝臓の機能は?血糖値は?というように項目別、臓器別にデータを解釈するだけで、それらを総合的にみて、健康状態を評価することはしない。
 健康診断では、肝臓の機能をみるために、GOT、GPT(今はAST、ALTとも言う)γGTPの3つの項目を調べることが多い。例えば、下記に示す結果は、各数値がそれぞれ、13(基準値5〜40)、6(同10〜40)、11(同0〜30)で、基準値からすると、非常によい数値で、肝臓の機能としては全く問題がない。肝臓の機能が悪いというのは、大体基準値を超えるときに言われるので、この数値は低い方がよいというイメージを持たれがち。特に13と6というのは、基準値の中でも非常によい値ということになる。
 健康診断では肝臓は「問題なし」なのに、健康状態はどうかと聞かれれば、「ものすごく栄養のバランスが悪い」となる。GOT、GPTというのは、ビタミンB6がないと絶対に作ることができない酵素である。ビタミンB6が健康な機能を維持するために十分食事から摂れていたら、この数字が20を切ることはあまりなく、一桁になってしまうことなどまずないので、この例は、極端なビタミンB不足なのである。
 γGTPは、アルコールや脂肪肝(肝臓がフォアグラ状態になってしまっている)のときに高くなる項目で、女性の基準値は0〜30、男性は70〜80が上限で、それを超えるとアルコールを止める、食生活を改善し運動をするように指摘される。Aさんは11だから、非常に肝臓の機能としてはよい数値であるが、肝臓に問題がないときにγGTPはタンパク質の摂取量の指標になる。肝臓に問題がなく、タンパク質がきちんと摂れていれば、この数値は18〜20ぐらいになるはずである。
 そうすると、Aさんはこの項目を見る限り、ビタミンBの極端な不足している。恐らくダイエットか何かで、食事が偏っている女性だろうと想像できるくらい、健康ではないのである。


メンタルの不調にビタミンBが有効

 ビタミンBはタンパク質の代謝、脂質の代謝、糖質の代謝のすべてに必要なもので、慢性的な不足状況が続くと、糖尿病になりやすくなったり、コレステロールが高くなりやすくなる。また、ビタミンBは心の安定を左右する栄養素なので、不足すると興奮状態やうつ状態になりやすい。最近のキレやすい子どもは、ひとつには栄養のバランスが悪いことによると言われている。
 私は産業医をしているが、今や企業からの相談内容は、7〜8割がメンタルの問題である。単に健康診断的な解釈や分析ではなく、分子栄養学的な分析によって、同じデータを幾つもの角度から見て、より詳細にその人の健康状態を見ている。したがって、メンタルに不調のある人は必ずこの検査を受けた方がよい。
 うつっぽいということで、薬を1日に数粒飲んでいる26歳の男性の場合、GOTとGPTが、2006年7月時点で14とか15であった。ビタミンBをしっかり摂れるような食事の指導を行い、かなりのビタミンBを投与。1カ月半たったところで、GOTとGPTの値が17とか18に上がってきた。症状が徐々に改善して、今ではもっと数値が上がって、薬は飲んでいない。つまり、本当にメンタルが病んでいたのではなく、栄養のバランスが悪いためにメンタルの影響を受けやすかったという話である。

糖負荷試験(乱高下型)



サプリメントの役割

 心の安定は、脳の伝達物質が担っている。セロトニンが少なくなるとうつっぽくなる。興奮状態あるいは興奮が不足してしまう状態のバランスを、脳の伝達物質が整えているわけであるが、それを作るには、ビタミンBをはじめ、いろいろなビタミンやミネラルや脂肪酸やブドウ糖が必要である。つまり、栄養のバランスはまともに心の部分に影響を与えるということだ。
 栄養ということでは、タバコ1本でレモン半分から1個分のビタミンCが壊れる。人間の体は、レモン15個分ぐらいしかビタミンCを蓄えられないので、理屈で言えば、1日20〜30本のタバコを吸うと、ビタミンCは体からなくなってしまうことになる。もちろんゼロになることはないが、ビタミンCがなければ、健康を保つことはできない。タバコをやめるのが一番であるが、どうしてもやめられない人は、1日最低でも2g以上のビタミンCを摂ること。これは日本人が1日に摂取すべき量の20倍に値する。
 また、ストレスも大量のビタミンCを壊す。例えば、交差点で出会い頭に犬や自転車にぶつかりそうになって驚く一瞬のストレスでも、レモン半分から1個分のビタミンCが壊れる。慢性的にストレスを抱えている人は、ビタミンCをグラム単位で摂らなければならない。
 アルコールは、タバコほどではないが、いろいろなビタミンやミネラルを壊す。例えばアルコールで壊されたビタミンBを食事だけで元の値に戻そうとすると、大体3日ぐらいかかる。ということは、毎日アルコールを飲んでいる人は、常にビタミンB不足あるいは亜鉛不足、マグネシウム不足になってしまうので、マルチのビタミンとミネラル類を常に補充しておく必要がある。
 ビタミンBは糖質や脂質の代謝にも重要なので、慢性的に不足すれば、血糖やコレステロールが上がりやすくなる。
 サプリメントや点滴は、れっきとしたアンチエイジング的な栄養療法のひとつである。サプリメントで最も大事なことは、自分にとって必要なものを知ること。何か病気で薬を飲んでいる人の場合、飲み薬との飲み合わせの問題もあるし、サプリメントの組み合わせの問題もある。自分に必要なものを必要なだけ摂ることである。
 ビタミンとミネラルは、体の中で作ることができないし、食事だけで十分補うことができない。しかし、体にとっては必須のものなので、積極的に摂取する。プラスの医療的な考え方がアンチエイジングの基本である。


アンチエイジングで行う点滴療法

 点滴療法のメリットは、口から取るサプリメントと違って、吸収による影響を受けず、入れたい量が必ず体に入ってくれること。また、効果が速いことだ。
アンチエイジングで行う点滴療法には以下のようなものがある。

・ ビタミン・ミネラル・アミノ酸の補充
・ グルタチオン点滴
・ 高濃度ビタミンC
・ がんに対するビタミンC大量点滴療法
・ 血圧、血糖、ダイエットなど目的別点滴療法


ビタミンCの点滴療法

 高濃度ビタミンCは、ビタミンCを5〜10g、あるいは15gぐらいを点滴する。これはウイルス感染や体調不良、過労でひどく疲れているとき、風邪の引きはじめ、肝炎ウイルスを含めたウイルス感染に効果がある。解毒機能や抗酸化作用もある。


がんに対するビタミンC大量点滴療法

 私がみなさんに伝えたいことの一つに、アンチエイジング医学は健康な人だけのものではないということがある。ビタミンC大量点滴療法もその一つである。
 ノーベル賞を2度受賞した科学者、ライナス・ポーリング博士が「ビタミンCでがんが治る」という内容の論文を、1970年代に発表した。不幸にも、すぐに否定する論文がでたために日の目を見ることはなかった。しかし、2005年、アメリカの国立衛生研究所(NIH)から、ビタミンCが正常細胞にダメージを与えずにがん細胞に選択的に効く、という論文が発表され、今では多くの施設で治療が行われ、大学でも臨床試験が行われている。
 がんは、手術して物理的に除去するのが基本である。その次が、放射線の治療や抗がん剤であるが、これらの治療とビタミンCを併用することによって効果が上がる。がんにダメージを与える効果もあるが、抗がん剤や放射線治療による副作用をビタミンCの点滴を併用することで減らす効果のほうが期待は大きい。がんそのものや治療による体へのダメージと精神的なストレスで、がん患者のビタミンCは非常に減っている。そのために全身状態や栄養状態が悪化し、さまざまな合併症が起こりやすくなるのだが、ビタミンCを補うことで、それらを改善する可能性がある。
 私はある大学の血液腫瘍内科にも所属しているが、リンパ腫という病気をひとつのターゲットにして、このビタミンCの大量点滴療法の臨床試験を開始した。しっかりと日本のデータを出していこうと思っている。


いつまでも美しくいたい 〜メソセラピー〜

 


今日からできるアンチエイジング

運動
・有酸素運動(ジョギング・ウォーキング・水泳・エアロビクスなど)を毎日30分以上
・筋肉トレーニングー スクワット、腹筋・背筋などを週2回
・ストレッチを毎日10-15分
が理想だが、ほとんどの人は、時間的な問題や意志が弱くできない。
継続できる運動の基本 
・ どこでもできる
・ 短時間ですむ
・ 効果が体感できる
・ 楽しい
クリニックでは、楽体(ラクダ)を取り入れた運動を推奨している。

食事
・ たんぱく質不足に注意する。
・ 間食はしない
・ 寝る前3時間は食べない
・ 水分はしっかり摂る(体重の20〜30分の1くらい)
・ アルコールやカフェインを多く摂る人は特に水分を多く。
  寝る前のコップ1杯の水は命を救う!!

睡眠
・ 1日に7時間前後がよい。
・ 寝不足も寝すぎも寿命は短い。
・ 真っ暗にして寝る!

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