BUNSHODO
前回までの文祥堂フォーラムのご紹介
第275回 人もまちも、ともに栄える百歳時代をつくる
     
〜演繹的発想への転換〜
2008年8月20日

会場入り口

講師紹介

白石正明氏

講演風景1

講演風景2

講演スライド1

講演風景3

講演風景4

講演スライド2

講演風景5

講演会場のご案内

 20世紀の大いなる、語られざる遺産。それは長寿ではないでしょうか。戦後60年余、
日本は長寿世界一の座に駆け上がりました。しかしまだ八合目、目指す頂上に広がるのは「百歳時代」という史上初の新世界。
 人生百年の視点に立てば、新しい生活、社会が見えてきます。百歳の誕生日をどこで、誰と、どう祝うかを考えると、生き方が変わるでしょう。
 ひとが変われば、まちも新しい対応が求められます。お客でも顧客でもない「投資家」という視点も必要でしょう。イベント、マーケティングに代えて、サービスの原点である「機会損失」問題に取り組むことが求められる時代となるかも知れません。
 「新しい酒は新しい皮袋に」といいます。「21世紀の遺産」づくりをどう実践すべきか?ご一緒に考えて見たいと願っています。
(白石 正明)


白石正明氏写真
PROFILE ・・・・・・・・・・・・・・・・・

白石 正明氏 (しらいし まさあき)
百歳時代研究者
国際プロダクティブ・エージング研究所 代表取締役

1934年 小樽市に生まれる。青山学院大学卒
日本ウェルエージング協会専務理事を退職後、国際プロダクティブ・エージング研究所設立。特定非営利活動法人ユニバーサル社会工学研究会理事長

<活動内容>
人口高齢化(Population Aging)は世界の問題ですから、各国の先進事例や知恵を関係諸団体・機関との交流、会議参加やネットワーキングを通じ情報の収集・交流を進めている。

高齢化問題をベースに、ユニバーサルデザイン、まちづくり、交通、生涯学習、ボランティアなど元気に生きるために役立つ知恵やシステムの調査研究。これまで日本に初めて紹介したシステムや製品は「高齢者疑似体験プログラム・インスタントシニア」「タウンモビリティ」「トーキングサイン(視覚障がい者赤外線誘導装置)」生活機器各種がある。

所属団体の一つ世界高齢者団体連盟(IFA)の国際プログラム委員として1999年からUD担当。今年の第9回会議はAgeing Design Montreal、世界初の高齢化とデザイン会議となる。昨年ECのエキスパート登録と研究所主催セミナー参加、その結果が近く出版(共著)予定。国内では静岡県UD大賞審査委員長を6年間在任中


<著書>
「百歳時代のリアル」編著 求龍堂(2003年)
「クルマ社会のリ・デザイン」 共著 鹿島出版(2003年)
「Ageing Well in the Information Society」共著 EC-IPTS研究所(2008年)
*IPTS=Institute for Prospective Technological Studies




■ 講演内容(講演レジュメより)

【お気軽に、テストではありません】
Q1.世界最大の中・高齢者団体の会員数は
: 2000万人 / 3000万人 / 4000万人
Q2.視覚障がい者誘導用の点字ブロックは、欧米の町々にも
: ある / ない
Q3.人間の脳神経細胞は〝1日10万個ずつ死滅して行く″
: 正しい / 間違い

はじめに

20世紀の大いなる遺産〜平均寿命は世界トップへ
1947年  男:50.06歳  女:53.96歳
2007年  男:79.19歳  女:85.99歳

第一部:21世紀は史上初の「大衆長寿時代」

1.最新の人口統計
90歳以上人口=115万3000人に(2007.10.01統計局HP)
≪注≫95歳時の平均余命:男=3.08年 / 女=3.88年

2.百歳時代の社会像と可能性

1)高齢期は創造性の開花と実りのとき 〜 高齢者アートの可能性
 ☆「等式」C = me²・・・開発者:Gene D. Cohen, M.D., Ph.D.       

2)百歳者の新しいライフスタイル
 ☆日米欧の百歳者たち
 ☆生涯現役(サンフランシスコ)・・・ シドニーさん、いつまでも!

3)高齢新人類のライフスタイル・・・AARP調査(2000年と2003年)
 ☆「退職後に住みたいまち」(アメリカ)に見る《変化》
  ① 豊かな自然・・・挑戦と癒し
  ② 大学院、生涯学習などでこころを磨く
  ③ 交流と愉しい食事

4)百歳人生への準備 
  ① “つながり” ・・・ 家族と、社会と
家族や社会とのつながり
   ☆スウェーデンの研究例 ・・・認知症の年間発生率
    つながりのある人  20人/1000人
    つながりのない人  160人/1000人
  ② 転倒防止「Fall Prevention」
  〜《社会的コストの発生》
   ・大腿骨頚部骨折発生件数  92,000件/年
   ・入院・手術費用      1,288億円/年
   ・ほかに介護費用も発生

※ 資料:林 挙史「大腿骨頚部骨折と寝たきり」1999年

  〜《ハード面の対策》
   ・段差解消 ・・・ 床、浴室、道路、横断歩道
   ・つまずき、すべり ・・・ 浴室床、スリッパ
   ・障害物 ・・・ コード、マット、敷物など
   ・照明 ・・・ むらなく、均一に(足元灯) 
   ・階段 ・・・ デザイン
  ③ 歩け、歩け、歩け
  
『高齢者の歩行と健康、歩き続けていつまでも若々しく』
   東京都老人総合研究所発行(Tel.03-3964-3241 300円)
   ・歩行速度、歩幅と死亡率
65歳以上の要介護の原因
 ☆しっかり歩くコツ
  ① 少し早めに ② 背筋を伸ばす ③ 膝を伸ばす
  ④ 腕を大きく振る ⑤ 大股で歩く ⑥ 着地はかかとから

3.「百歳からの人生設計」の提案

① 百歳の誕生日をどこで、どう祝うか、誰と祝うか?
② 百歳を起点として現時点へ、と考える
③ 家族を含めたトータル・プランとする


第二部:ひとが変わる、まちも変わる

1.まちとは?

「様々のひとが出会い、触れ合う場所」 David Riesman

2.大衆長寿時代のまちはどうあるべきか

 ☆ まちは誰のためにあるか?
  ① 住むひと
  ② 働くひと
  ③ 学ぶひと
  ④ 訪れるひと
  ⑤ 未来の人々

3.商店街の現状は?

1)2007年「商業統計調査(速報)」
  ①「停滞」「衰退」全国の7割
  ② 全国小売業事業所数 113万6755ヶ所 前回比 8.2%減少
  ③ 理由:郊外大型SCの出店〜99年比 3割強増加 
    経営者の高齢化と後継者不足
    店舗の魅力が少ない

2)「東京都商店街実態報告書―平成16年度」
 ☆商店街の景況:衰退している  70%
         繁栄している  6%(142ヶ所)

3)「中小企業庁商店街事態調査―平成15年度」
 ☆商店街の景況:繁栄している     2.3 %
         停滞・衰退している   96.6 %
 ☆商店街の大きな問題点:・後継者難   67.1 %
             ・魅力のある店舗が少ない    66.3 %
             ・商店街活動への参加が低い   55.7 %

4)郊外SCは第二の恐竜?
 ☆【住みたいまち】トップ、ボウルダー市の変化と背景

5)ヨーロッパのまちまちの賑わい

4.人間中心のまちづくり

1)【情報】とは?
2)新しい発想
  ①「投資家」
  ② さらば、イベント
    〜「イベントの損益計算書」
  ③「機会損失」
3)新たな視点と挑戦
  ①「観光立国」の可能性
    〜観光とは、国のひかりを観ること
  ② 人間理解と“みつばち”

5.ひともまちも「つながり」に生きる

1)人間はひとりでは生きられない動物である
2)賑わいを産み出す二つの要件
           “滞留”と“回遊”
3)まちまでの《モビリティ》
  ・パーク&ライド、ライトレール・トランジットほか
4)まちなかの《モビリティ》への配慮のないまちは栄えるか?
  ① 安心・安全・快適なまち
  ・Care-Free Town ・・・「人間のためのまち」
  ・34年かけて歩行者空間を6倍にしたコペンハーゲン 
  ② まちなかの「移動スピード」〜究極の移動は《歩行》
  ・時速2km ・・・ 1秒で1メートル
 ☆ ゆったりとまちを楽しむ・・・ 0.5メートル以下/秒
 <注> 杖の利用者の歩行スピード 0.4〜0.7m/秒

6.《動物》という本質の理解

1)すべての《動物》は必ず疲れ、休息を求める・・・「生理機能」
  ① ベンチ
  ② 水
  ③ トイレ
2)快適環境(温熱、清潔)への配慮
3)商店街に必要な《第三のスポット》
 ☆先進事例:「まちのえき」(山口市)

おわりに

1)なぜ百歳時代か? ・・・ 高齢者文化の創造という使命
2)「ストラルドブルグ」・・・ ジョナサン・スウィフトの予見に学ぶ
3)モビリティはひととまちの「QOL」(Quality of Life)を決定付ける
モビリティはひととまちの「QOL」(Quality of Life)を決定付ける

【参考図書】
「The Creative Age ~ なぜあの人はかくも元気なのか?」
Gene D. Cohen, M.D., Ph.D. 著 真野明裕訳 光文社 (2001.05.30)
C=me²(同書50ページ)

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