BUNSHODO
前回までの文祥堂フォーラムのご紹介
第293回 ガーデンへの誘い 植物に託された想い・・・
   
~交差し、受け継がれる空間のぬくもり~
2010年02月17日
 英国ガーデンデザインは、お料理に例えますと、少しご理解いただきやすいかもしれません。私たちデザイナーには、まず四季を通した食材(植物)の知識があります。さらに、その食材を存分に活かすための器(外構)と、そして全体の納まりである盛り付け(デザイン)の知識。これらの基本となるポイントに、実施上のテクニック(工法)や食材の組合わせ(植栽デザイン)などの工夫を施します。加えて、けして私達の自由にはしきれず、しかも一瞬たりとも同じ状況のない光や風や水との調和を求める謙虚さや、訪ずれて下さる人々との調和を維持しながら、成長を重ねるための時間的配慮も欠かせません。当然、創る場所、造る方の様々なご希望や目的がありますが、目に見える部分だけからは判断の難しい排水や土の温度変化等の細かな条件まで、声になるものと成らないもの双方を集め、丁寧にトータルの着地点を考察してゆきます。そうした様々なハードルを内在し、多くの人々の想いに支えられ、時に音楽の様に時に絵画の様に、人々を慰め、鼓舞し、なだめ、共鳴しあい、時間という川を人々と共に旅してきた空間。その横顔と温もりを、いくつかの画像を御覧頂きながらご紹介したいと思います。
(徳田 千夏)















































徳田千夏氏写真
PROFILE ・・・・・・・・・・・・・・・・・

徳田 千夏 氏 (とくだ ちなつ)
ガーデンデザイナー
1963年 東京都生まれ。
英国チェルシーフィジックガーデン ガーデン設計卒
植物と共にある、豊かで肌触りのよい暮らしの提案、及び実際の設計・施工の現場に関わりながら、広く後進の指導に当たる。
現職 ガーデナーズデザイン 代表
ガーデナーズ協会 理事
タカショーガーデンインスティテュート 顧問
イングリッシュガーデン&ハウス主宰
代表記事 日本経済新聞社 プラスワン ガーデニングコラム
他、主婦の友社・小学館・ブティック社・グリーン情報など
広く暮らしに関わる分野で、講演・講座を丹念に積み重ねることで、参加者との時間を丁寧に共有し、ガーデニングがその本質に持つ、「相互に育む」という温かい感覚を、少しでも多くの方に楽しんで頂けるための活動をつづける。
(三井不動産ケアプラザ 2005年「暮らしに一番身近で安全な空間としてのガーデン/農業大学校 2005年「夏のガーデンデザイン」/ジャパンガーデニングフェアー 2005~ 2007年「ガーデン設計の鳥瞰」/東急セミナーBE 2003年~現在「英国ガーデナー」/NHKカルチャー 2009年(庭園探訪)現地講座 など)

また、伝承された先人の英知の継承に加え、今日、私達が直面している様々な県境・社会問題へ寄与されるべき知識や経験が、よりよく反映されるための試みや研究会活動(NPO法人屋上開発研究会)なども行っている。



■ 講演内容 (講演資料より)

銀座には、多くの、そして様々な交差点があります。
現在、100年に一度と言われる経済の大きな変動の波や、深刻化するエコ対策の中。 50年後、100年後の先。人々の喜怒哀楽を紡ぐように積み重ねられてきた重みあるこの時間が、さらなる時代の試練を受け、改めて人々にふり返られ、尚一つの交差点として、誰かの・・何かの、心の風景にして貰えるようなもの・・。 それは何だろう・・・? そんな時間の先にも、あらゆる交差点を行き交う人々と交わせるもの・・。それはどんなコトなのだろう?現在の世界的大きな節目の只中にある者の一人として、最近とみにこの自身の声と向きあうことが多くなりました。

特に銀座で過す時間・・・ この内なる声は、しばしばその問いを私に繰り返してきます。この街は、私にとってそんな不思議な場所であり、また時間の重みをゆったりと紐解いてくれる、何かとても厳かな場所です。

私が、学び修める機会を頂いた英国ガーデンの本質には、他を想い他をいたわり、その中で自身を高め自身と競い合うことで織り込まれた細やかな線と時間への配慮がありました。そうして出来た空間にはさらに沢山の時間が流れて、その空間に人々の想いが静かに抱きしめられ重なってゆく・・そんな大きな穏やかさがありました。個々の力の発露と結集でありながら、個々の気持ちの発露に留まらない、より広く長い時間へのいたわりが、あの「厳か」な雰囲気を漂わせているのだと思いました。

ガーデンに、静かな水音や爽やかな木立・華々しいエントランス・奥行きのあるベンチのある風景・・それらが人々をゆるやかに持成す優しさがあるように。この街の温かさや穏やかさはとても心地よく、細かな場所・大きなイベント・店舗のしつらえ・人々の応待・・ いろいろな所でその想いの片りんを見つけることができます。

本日は、お運び下さった皆様と時を重ねて共に過させて頂き、
ガーデンの心と魅力をご紹介出来ることをとても光栄に存じます。

「ガーデン」という空間について

英国ガーデンデザインは、お料理に例えますと、少しご理解いただきやすいかもしれません。私達デザイナーには、まず四季を通じた食材(植物)の知識があります。さらにその食材を存分に活かすための器(外構)と、そして全体の納まりである盛り付け(デザイン)の知識。これらの基本となるポイントに、実施上のテクニック(工法)や食材の組み合わせ(植栽デザイン)などの工夫を施します。
加えて、けして私達の自由にはしきれず、しかも一瞬たりとも同じ状況のない光や風や水との調和を重ねるための時間的配慮が重要になります。

またこのような「トータルバランス」の中には、当然のことながら、造る場所・造る方の様々な条件やご希望・目的も含まれて参ります。こうした目的に添いながら、さらに、声になり目に見えて判断できることばかりでなく、土の温度や排水の問題など、目には見えづらく音にもなりにくい細かな事象にも心を傾ける気持ちが大切になります。なぜなら、風や水の道は、一度くせがついてしまいますと、回復までにその何倍もの時間を必要としてしまう虞が高いためです。また、ここにガーデン構成スタッフとして登場する植物達は、ガーデン完成後から着々と成長をいたします。その分の、植物の経年変化(影のボリューム・通気への配慮なども含めた計画)への意識が欠かせません。
このように、総合的でより継続的な着地点を探して設計する細かな作業を重ねてゆくことになります。

何故か落ち着き離れがたいガーデンには、その大きさに関わらず、上述のようなデザイナーの知識と、ヒトと植物双方への思いやりが緻密にデザインされているのを感じます。そのように丁寧に練りこまれた想いが託されたガーデンは、ヒトの優しさと同様、身近でありながら実にさり気なく、安心と安らぎに満ちて穏やかです。さらに自然との調和を取り入れて設計されることから、朝・昼・晩・春夏秋冬・・・美しく変化する自然の姿までを身近に感じることができます。特に時間を重ねた歴史ある庭園などを尋ねますと、上述のような様々なハードルや問題、時代の試練をも乗り越え、継承への想いに寄せられた多くの人の気持ちや様々な貢献に支えられ、時間という川を人々と共に旅してきた空間の温もりを深く感じます。

育まれてきた英知の数々と真の豊かさ・・・

実際の現場のお話となりますと、これは画面で見て頂きます様な、直接、土木的問題・日照的問題・排水・風圧・そしてメンテナンスへの意識や実際のメンテナンスと、かなり問題だらけといった状況があります。ただ、たとえ大きな庭園でなくても、そこに人がいて、太陽や水があり、小さな命が育ってゆく温かみと楽しみは、真の豊かさの一つと言って過言ではないと思います。

ガーデンの、大きな力に包まれて・・・

自然に包まれ、色彩、香り、収穫の恵みを感じることの出来る贅沢な空間。それが身近にあることの人生の豊かさは、一つの特別な充実感をもたらしてくれると思います。
その豊かな空間に集うのは、蝶や天道虫ばかりでなく、知人、友人・・時に素敵な空間の噂をきいた近隣の新しい友人かもしれません。「生活の質」が叫ばれて久しくなりますが、コミュニケーションの扉としてのガーデンも、様々の場面で、より大きく温かな役割を担って皆さまのお役にたってゆくように感じています。

歴史あるガーデンを尋ねる

以上、ご紹介してまいりましたガーデンの持つ魅力を、
英国の歴史あるガーデンやパークの画像と共に幾つかご紹介を致します。

 (参考画像) シッシング ハ―スト (英国ナショナルトラスト)
キューガーデンズ (英国王立協会)
ウィズリーガーデン (英国王立園芸協会)
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